「守る×集う×巡る」清水港の未来へ。 ~清水港ウォーターフロント 官民連携プロジェクトへの貢献~
SCROLLIntroduction イントロダクション
駿河湾の湾奥に位置する清水港は、かねてより物流の拠点として地域経済を支えてきた日本屈指の良港です。近年は、富士山世界遺産登録やクルーズ需要の高まりにより、観光交流拠点としての役割も急速に拡大しています。
そして、清水港の機能転換を象徴している地区が、日の出地区・江尻地区。このエリアでは現在、官民連携による「港湾機能の強化」と「地域のにぎわい創出」を同時に実現するプロジェクトが進行中です。高潮・津波対策、クルーズ受け入れ体制の充実、商業・交流施設の整備を通じて、民間施設とインフラが一体となった空間を創造。さらに、回遊性・防災性を高め、地域の活力向上を目指すことで、清水港のさらなる魅力づくりに貢献します。
当社は創業以来70年以上にわたり、清水港の発展とともに歩んできました。建築・土木双方の豊富な実績によって蓄積された技術力を活かし、プロジェクトの実現に向け、他に類を見ない取り組みで清水港の次世代化に貢献していきます。
本ページでは、当社の挑戦(取り組み)をご紹介します。
官民一体プロジェクト
プロジェクトの展開エリア
清水港メモ
- Point 1
- 清水港では、清水港・みなと色彩計画のもと、全国に先駆けて官民連携による「美しいみなとづくり」を行っています。日の出・江尻地区は景観形成重点地区にあり、景観に配慮した計画が必要でした。当社は、景観との調和と工事管理の両立を図りながら、各案件に取り組みました。
- Point 2
- 静岡県では、日の出地区・江尻地区を含む清水港一帯の高潮・津波対策を推進。波返しの設置・防潮堤嵩上げ等を実施しており、当社も一部工事の施工を担当しています。
日の出地区
官民連携により、魅力的なウォーターフロントへ。
日の出地区は、清水港の国際クルーズ拠点化や海洋文化拠点整備など、官民が連携して地域の活性化や魅力の向上を推進しているエリア。日の出地区の特徴は、港としての産業機能にエスパルスドリームプラザ本館「SEA-side」や遊園地といった商業機能が融合しており、港と地域の距離感がとても近いことです。
距離感が近いがゆえに、防災性が課題でした。無堤地区であったこの場所に単に防潮堤を建設してしまうと、その機能上、港と地域を分断する恐れがありました。そこで、港と地域のつながりを維持しながら防潮堤機能を持たせるために、防潮堤を包み込むような緑地公園が計画され、民間による商業施設の建設と静岡県による防潮堤の建設を融合。官民連携でのウォーターフロント整備を進めました。
当社は、建築・土木双方の技術を活かし、発注者の異なる複数工事を一体的に推進。商業施設と防潮堤は近接し工事期間も重複していたため、官民共同で事前に計画を立て、工事中も緻密に調整を行い、品質と安全を確保しながら施工を実現しました。
エスパルスドリームプラザ「PARK-side」
「エスパルスドリームプラザ」新棟の「PARK-side」は、海辺に開かれた設計により、来訪者が港を身近に感じることができ、これからの日の出地区を象徴する施設です。当社では、この鉄骨造4階建て、延床面積8,288㎡の新空間を、施設計画から設計・施工までを一貫して対応し、確かな技術力で構築しました。
行政が進める海洋文化拠点や国際クルーズ拠点整備の可能性を見据え、日の出地区の核となる商業施設として計画。既存の「SEA-side」が娯楽を軸に広域集客を担う一方、「PARK-side」は地元を主役に、地域の方の日常をより心地よくする場をコンセプトにしています。
防災面の対策も強化しました。1階に公共工事による高さ2.5mの防潮堤を併設し、3階を津波避難ビルとして機能させています。また、海側への開放性を重視した施設計画のため、雨水漏水対策にも注力。特にアトリウムの吹き抜け空間への雨の吹込みを抑えるため、ガラス屋根を拡張させるなど、荒天時でも快適な共用空間を実現しています。
港から新築建物、既設本館への回遊・導線を意識したデザインにより、観光港の玄関口としての魅力を高め、清水の新たなシンボルとして地域の発展に貢献しています。
防潮堤嵩上げ・緑地整備
南海トラフ巨大地震を見据えた高潮・津波対策として、既存防潮堤の嵩上げを実施し、あわせて防潮堤を包み込む緑地公園を整備することで、防災と景観の両立を図りました。さらに、「PARK-side」2階デッキから緑地につながるよう高さを調整し、海側の公園(清水マリンパーク)へのシームレスなアプローチを実現しています。
民間工事の「PARK-side」新築工事と工程を調整し、防潮堤嵩上げと緑地整備を一体的に進め、2023年5月に防潮堤嵩上げが、2024年1月に緑地整備が竣工しました。約3か月という短工期にもかかわらず、緑地整備では、土壌改良、排水計画、植栽管理を精密に実施し、高品質を確保。その成果が評価され、静岡県清水港管理局より、「働き方改革工事部門 優良建設工事表彰」を受賞しました。
季節感あふれる緑地空間は、地域コミュニティの新拠点となるとともに、高潮・津波対策を備えた防災公園としても機能しています。防潮堤嵩上げ・緑地整備により、エスパルスドリームプラザ周辺一帯は、快適性と安全性を兼ね備えた空間となり、地域の防災力と交流力の向上に貢献しています。
Photo History フォトヒストリー
地域に機能する新施設を共創。その経験が、大きな「喜び」と「学び」に。
VOICE NOTE エスパルスドリームプラザ「PARK-side」 施工管理担当 ※写真左
幼い頃から家族や友人と何度も訪れた「エスパルスドリームプラザ」。その新棟建築に自分が現場監督として関わるとは、入社前には想像もしていませんでした。「PARK-side」は、商業施設でありながら防潮堤としての役割も担います。日常においては多くの人が集い、笑顔をつくる一方、災害時には地域と人を守る存在となる建物です。当時、入社1-2年目だった私は、右も左も分からず、図面や工程管理、職人さんとの打合せなど、学びの連続で未熟さを痛感する日々でした。それでも竣工後、この場所に多くの人が訪れる姿を見たとき、地域に貢献できた達成感を得ました。この経験が、さらなる成長を目指す私の原動力となっています。
VOICE NOTE エスパルスドリームプラザ「PARK-side」 設備設計担当 ※写真中央
設備設計担当として初めて挑んだ「PARK-side」では、これまで経験したことのない技術や設備に数多く触れる機会に恵まれ、大変多くの学びを得ることができました。特に印象に残っているのは、駐車場に設置した泡消火設備です。試運転に立ち会い、これまで机上の知識でしか理解していなかった消火の仕組みを、実際に目で見て確認することができ、理解が一層深まりました。オープン当日、多くのお客様が来場される光景を目にしたとき、地域に貢献できたことへの大きな喜びを実感し、心から達成感を得ることができました。
VOICE NOTE 防潮堤嵩上げ・緑地整備 施工管理担当 ※写真右
緑地の南西側階段(「PARK-side」を正面に見て左側)を上がったところで、お客様を歓迎するのがコンクリートブロックを精密加工したシンボルマーク。その先には、浮世絵の名作を彷彿とさせる、富士山の絶景が視界に広がります。施工では、既存デッキとの滑らかな接続を実現するため、八角形の角部を丁寧に加工し、曲線部の仕上がりに特に配慮しました。細部の完成度にこだわることで、美しい景観の特性を活かし、周辺と調和した魅力的な空間となりました。竣工後、この景観の素晴らしさに気づいたお客様が、足を止めて眺める姿を見たとき、地域に誇れる空間づくりに携わることができた喜びを感じました。
江尻地区
日の出地区とともに、にぎわいと交流の重要拠点に進化。
江尻地区は、清水駅東口周辺の活性化を推進する上で重要なエリアです。清水港の国際クルーズ船拠点化に伴い、フェリー発着場を江尻港に移転するための岸壁整備工事を実施しました。同時に、地域の民間事業者が観光誘客施設のリニューアル事業も進め、官民が一体となって江尻地区の活性化事業を展開しています。日の出地区同様に、土木・建築双方の工事が同時進行で進められており、発注工程やスケジュールを綿密に調整しながら施工しました。
新たに整備された岸壁は、フェリー乗客の利便性向上と観光客の増加を実現するとともに、大規模災害時に陸路が使えない場合の海路による物資輸送拠点として機能し、地域の防災力強化にも貢献します。
この移転に伴い、日の出地区では大型クルーズ船2隻の同時接岸が可能となり、江尻、日の出の両地区が、にぎわいと交流の重要拠点へと進化しました。当社は、地域に根ざした建設会社として、複数のプロジェクトに携わり、清水港全体の発展と地域活性化を支援しています。
フェリー岸壁
本工事は、駿河湾フェリーの発着場を日の出地区から江尻地区に移転する工事です。新しい駿河湾フェリーの発着場が、JR清水駅から徒歩3分という利便性の高い場所になり、乗降客の利便性が大幅に向上しました。
本工事では、全体延長164.5mの岸壁のうち131.2mを耐震強化岸壁(スリット式ケーソン)とし、残る33.3mを取付護岸として整備しました。複数企業による施工でしたが、当社が中心となって工程管理を徹底し、発注者である静岡県清水港管理局と受注者各社の調整を円滑に実施。さらに、併設する「新いちば館」建設工事の担当者とも情報共有を行い、予定通り駿河湾フェリー江尻港の開港日に間に合わせ、完成することができました。
江尻港は、東海大学の通学船(水上バス)やバンカー船、水揚げ船など複数の船舶が利用しているため、それぞれの非利用時間を確認し、限られた時間での海上作業を厳守しました。フェリーの運航や周辺利用者の安全を最優先に、万全な安全対策を講じながら、さらに海上作業を含む複雑な施工環境下での難工事に挑み、耐震強化岸壁としての機能を確実に実現しました。
河岸の市 新いちば館
JR清水駅東口の観光交流拠点として、老朽化した施設から新築施設へリニューアルした「新いちば館」は、鉄骨造2階建て、延床面積3,206㎡の施設です。清水駅東口と「いちば館」2階をペデストリアンデッキ(高架で設置された歩行者専用通路)で直結することで、駅から雨に濡れずにアクセスでき、利便性が大幅に向上しました。
1階には仲卸のほか、駿河湾フェリーのチケット売り場を併設し、駅、新いちば館、フェリー乗り場への回遊性も向上しています。また、建築工事に先立ち、公共工事による高潮対策として地盤の嵩上げを実施しました。その際、官民で協議し、新施設の建築工事を考慮して詳細を決定しました。
当社は、新築建物の設計施工、既存施設の解体、駐車場の整備など、複数工事を一貫して担当。既存施設の利用者の安全を最優先としながら、駿河湾フェリーの江尻港開港に合わせた工程管理を徹底しました。無事工事が竣工し、2025年4月にリニューアルオープンすることができ、清水駅東口エリアの新たな観光スポットとして、地域の活性化に大きく貢献しています。
Photo History フォトヒストリー
複合的で複雑な工事管理に対応し、無事に竣工。清水に新しい活力を。
VOICE NOTE フェリー岸壁 施工管理担当
利用開始日が決まり、工期に追われる中で、各工事のクリティカルを守るための工程調整に注力しました。心がけたのは、関係者間における情報共有の徹底です。完成に向けてイメージの共通認識を持つことで、この課題を乗り越えることができました。また、各工事の重機や車両等の作業内容や動線を共有し、綿密な調整をした結果、無事故で竣工。工事が完成し、新しくなったフェリー乗り場に観光客が絶えず来ているのを見ると、清水の活性化に貢献できたと実感できます。
VOICE NOTE 新いちば館 施工管理担当
今回の工事は、新築工事と並行して出店者様とのテナント工事調整に加え、フェリー岸壁工事や既存ペデストリアンデッキ接続工事などが複合的に進行。静岡県や静岡市のさまざまな部門、当社土木工事部を含めた関係業者との打合せの連続など、これまで経験した現場とは異なる課題が絶えませんでした。それでも、江尻港開港スケジュールに合わせて、無事に「新いちば館」がオープンして、多くの出店者様や利用者の笑顔を見ると、こちらも笑顔になります。やってよかったと思える物件が、また一つ増えました。






